沖縄の“おいしい発酵”が生まれるところ

當真あみがめぐる故郷・沖縄の発酵食。

日本の地域に息づく伝統的な発酵と、発酵と共に生きる人々の暮らし。それは日本が誇る食文化のひとつです。そんな“発酵”を探し求める旅へ。読めば、地域と発酵がもっと好きになる。

今回は、カルピス®️ブランドのCMタレント當真あみが、故郷の発酵食をめぐりに沖縄へ。

カルピス®️ブランドのCMタレントであり、カルピスウォーター®︎のCMに出演中の當真あみさん。実は発酵の力でできているカルピス®の魅力をもっと知るため、故郷・沖縄の発酵食を体験しに行きました。

カルピス®️ブランドのCMキャラクターである
當真あみさんと、発酵のおいしさを探しに。

カルピスウォーター®のCMで爽やかな魅力を伝える女優・當真あみさんは、沖縄県出身の16歳。NHK大河ドラマ「どうする家康」の亀姫役など、さまざまな作品で注目されています。「カルピス®は小さい頃からとても親しみのある飲みもの。水はもちろん、牛乳で割ったり、お湯で割ってホットで飲んだり、夏にはかき氷にかけたりしていました」

カルピス®が国産の生乳を発酵させたものだと知ったのは、CMキャラクターに就任してからだそう。一般的にも、あまり知られていない事実かもしれません。「牛乳があの甘ずっぱい味になるのは、発酵が関係しているのかな?」おいしさの秘密を探るため、沖縄に里帰り。味噌やパンなど、身近な食材から発酵について学んできました。

〈玉那覇味噌〉で味噌づくりを見学。

はじめに訪れたのは、沖縄で唯一伝統的な味噌づくりを続ける〈玉那覇味噌〉。無添加で天然醸造の製法を170年以上守っています。首里城のお膝元にあり、琉球建築の風情も感じられるお店は、奥にある工場に併設されたもの。麹づくりからパッケージングまで行われる蔵の中を見せてもらいました。

「いちばんの自慢は、この麹。いい麹ができれば、いい味噌ができるんですよ」とは、案内してくれた玉那覇有紀(ありのり)社長。蒸した米に種麹を付けて4日間。熱加減を調整しながら、“米麹”をつくります。大切に育てた麹は、黄色に変化。「“黄麹”と言って、粒が密集し、いい状態です」。

「食べてみて」と差し出された米麹を、當真さんは恐る恐る味見。「最初はすっぱいけど、噛んでいると甘くなりますね。これが味噌づくりの要か……。味噌の発酵には、どれくらいの期間かかるんですか?」。「季節によりますが、3か月から5か月です。沖縄は気温が高いので、特別なことをしなくてもおいしい味噌ができるんですよ。しっかりと発酵した味噌は旨みが出てきます」(玉那覇社長)。

〈玉那覇味噌〉でつくられている味噌は、国産大豆を使った香り高い「王朝みそ」、外国産大豆を使った定番の「首里みそ」、米麹と麦麹を合わせた「特撰みそ」、ウコン入りの「うっちんみそ」の4種。店頭でテイスティングしながら、それぞれの特徴を確かめてみました。「そもそも、味噌だけを食べるという体験が初めて。味噌ってこういう旨みのある味だったんですね。それぞれ微妙な違いでお気に入りを決めるのは難しいですが、一つだけキャラクターが異なるうっちんみそが気になります。ウコンの味は確かにしつつ、でもいつもの料理に普通に使えそう。お土産に買って帰ります!」

左から「首里みそ」590円、「王朝みそ」920円、「うっちんみそ」590円、「特撰みそ」590円。

〈玉那覇味噌〉
住所:沖縄県那覇市首里大中町1-41
電話:098-884-1972
営業時間:9:00〜17:00
定休日:土・日・祝祭日・年末年始

〈宗像堂〉で、天然酵母パンを体験。

次に訪れたのは、2023年で創業20周年を迎えるベーカリー〈宗像堂〉。ここは、全国各地からパン好きが訪れる、人気のお店です。2017年には敷地内に〈発酵研究所〉をオープンし、パンに限らずさまざまな発酵料理のイベントを開催。店主の宗像誉支夫(むなかたよしお)さんは、大学院で微生物の研究をしたのち、パンの世界へ。「飽きっぽい私でも、酵母の面白さにはのめり込んでしまいました」と語ります。

ホイロ(発酵庫)で膨らませた生地を、手づくりの石窯を備えた小屋の中で成形し、焼き上げていきます。特別に、當真さんは、焼く前の生地を触らせてもらいました。「生?のパン生地は柔らかくて不思議な感触です」。

〈宗像堂〉では、自家製の酵母を使ってパンを発酵。「沖縄でいい菌を育てるのは気温や湿度のコンディション的に難しいので、工夫が必要です。これが、今使っている酵母ですよ」と、宗像さんに自家製酵母を見せてもらいました。オレンジ色の酵母は、りんご、長芋、にんじん、米からできているそう。

「どんなものも微生物分解していきますが、人間にとっていい働きをするのが発酵、反対に悪い影響を与えるのが腐敗ですね。発酵は食をおいしくしますし、健康にもなれるんですよ」(宗像さん)。

「見ているうちに、少し膨らんできましたね。気泡が出てきて、酵母が生きているのがわかります」(當真さん)。

焼き上がったパンを切ってみると、断面に酵母と同じようにポコポコと気泡が。「これが酵母の力です。小麦の味がしっかり出ているのも、酵母のおかげ。ぜひ食べてみてください」と宗像さん。石窯を薪でしっかりと温め、その余熱で火を通すため、焼き上がったパンはしっとり。噛むごとに旨みが出てきます。「私は普段コンビニやスーパーで買うものを食べることが多くて、何もつけなくてもこんなにおいしいなんてビックリです」(當真さん)。

テラスでは食事も可能。バゲットに自家製ハムと分厚いバターを挟んだ「ジャンボンブール」600円、「島かぼちゃとトマトのポタージュ」480円。

〈宗像堂〉
住所:沖縄県宜野湾市嘉数1-20-2
電話番号:098-898-1529
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定

沖縄の発酵文化をめぐる旅を経て。

味噌、パンと、普段触れている食材の発酵文化を学んできた當真さん。「何気なく食べてきたものに、こんなに発酵の力が使われていたとは。カルピス®も沖縄で見たような発酵の力によっておいしくなっているんですね。どれもすごく時間と手間をかけてつくられているのがわかって、これからも大事に食べたり飲んだりしていきたいと思いました」。

※「カルピス」はアサヒ飲料(株)の登録商標です。

photo:Hikari Koki hair&make:SAKURA(makiura office)
styling:Mayu Takahashi text:Kahoko Nishimura