発酵レア調味料

日本各地にある“レアな”発酵調味料。
「一度は味わってみたい!」
こだわりの逸品をご紹介。

お腹や気持ちが整う。
“ちょい足し”使いがオススメの食べるラー油
〈やさしいラー油〉

posted:2020.11.20

ごま油や菜種油に唐辛子などの香辛料を加えて熱することで、油に辛味をつけた「ラー油」。四川料理を中心とした中華料理に使う調味料としてよく知られていますが、2000年代以降はフライドオニオンやフライドガーリックなどの具材も一緒に入った「食べるラー油」が定着。辛いものが好きな人は、メニューを問わず日常使いしている人も多いのでは? 今回は千葉県にある老舗酒蔵〈寺田本家〉の女将がつくる、発酵調味料のひとつ〈やさしいラー油〉をご紹介します。

【〈やさしいラー油〉とは?】

〈やさしいラー油〉はアメ色に炒めた玉ねぎと長ねぎ、にんにくなど香味野菜を、有機栽培菜種油で炒め合わせ、じっくりコトコト煮込んだ一品です。味の決め手は、長期熟成発酵した「玄米塩こうじ」。通常1週間ほどで完成する塩こうじですが、使用している「玄米塩こうじ」は半年以上寝かせたもの。旨みがグンと凝縮されていて、塩や一般的な塩こうじを使うよりも味わい深くなっています。

まずはそのまま味わってみると、その香りの豊かさに驚かされます。「原料の自給率を上げたい」という想いから、野菜も菜種油も地元の仲間がつくるものを使っているといい、素材それぞれのパワーが強い! ラー油というよりピリ辛野菜ペーストと表現できそうです。

ちなみに〈やさしいラー油〉というネーミングから“やさしい”味わいを想像していると、ピリリと辛いのでご注意ください。

【〈やさしいラー油〉の使い方】

素材にこだわった〈やさしいラー油〉は、薬味としてお豆腐にのせたり、麺類や鍋物のアクセントに使うのがおすすめです。その他、炒め物や和え物などの仕上げに入れたり、カレーの隠し味にも。また、卵かけごはんに入れても抜群においしくなります。

なお、開発者のイチオシは、お鍋の際に自分の取り分け皿にひとたらしする使い方。この商品を開発した当時、自身のお子さんがまだ小さく、「食事がやさしい味ばかりで刺激が欲しい…、自分の分だけ辛くできるものを…」とつくったのが始まりだと言います。

【〈やさしいラー油〉のつくり手】

〈やさしいラー油〉がつくられているのは、千葉県香取郡にある自然酒づくりで有名な〈寺田本家〉の傍にある、〈発酵暮らし研究所&カフェうふふ〉。ここは衣食住にまつわる発酵文化を研究・実践しつつ、さまざまなイベントやワークショップを開催し、発酵を次世代に繋いでいく、発酵文化を学びあう“発酵場”を目指して、2017年にオープンしました。

築40年のアパートを、酒蔵で使われてきた木の蓋や道具などをつかってリノベーションした空間

手掛けるのは〈寺田本家〉の現当主(24代目)の妻で、23代目の次女である寺田聡美さんです。つくり酒屋に生まれながらも、実はお酒が飲めないという聡美さん。旦那さんが聡美さんの家業を継承した頃から手伝うようになり、発酵の面白さに気づいたといいます。

「もともと〈寺田本家〉のお酒をつくるのに良い原料を使っているのは知っていました。酒づくりの過程で出る酒粕がもったいないと思ったのがきっかけで、私のようにお酒が飲めない人にも酒づくりの副産物を使った味を楽しんでほしいと思い、酒粕や麹などを使った発酵レシピを考案しています」と聡美さん。

〈寺田本家〉の発酵調味料を使った発酵メニューが並ぶ〈うふふごはんセット〉

今回ご紹介した〈やさしいラー油〉のほかに、〈げんまい塩こうじ〉や〈バーニャカウダ〉、〈酒粕ちいず〉など、〈寺田本家〉の発芽玄米麹や自然酒酒粕を原料に使用した“手軽でおいしい発酵ソース”がラインナップ。週2回だけ開店するカフェうふふで使用するほか、毎日の暮らしの中で簡単においしく活用できる調味料として販売しています。

「食べることだけで全てがよくなる訳じゃないと思うんです。気持ちの面でも“発酵”を伝えられたらいいなと思っています。お腹や気持ちが整った状態で、みんなが健康で幸せに暮らせたらいいですよね」(聡美さん)

食べたら思わず“うふふ”と微笑んでしまう、つくり手の思いが詰まった〈やさしいラー油〉。日々のメニューに“ちょい足し”して使ってみてはいかがでしょうか。

information

〈寺田本家〉の〈やさしいラー油〉

価格: 864円(税込)
寺田本家オンラインショッピング:
https://www.teradahonke.co.jp/fs/terada/fermented-seasoning/gd50