私たちの食生活にすっかりお馴染みの「発酵食品」。日本は発酵王国といわれるほど、発酵食品の種類が豊富で、醤油や味噌などの発酵調味料を含めれば、発酵食品を口にしない日はないといえるかもしれません。
発酵食品は、原料に麹菌などの微生物が付着してできますが、その微生物の活動により栄養成分や旨み成分が増し、栄養豊富でおいしい発酵食品が完成します。微生物は発酵の過程で悪い菌が入るのを防ぎ、発酵によって生まれる乳酸や酢酸、アルコール自体にも殺菌作用があるため、雑菌が増殖しにくい環境が生まれます。このメカニズムにより、世界には“○年もの・○十年もの”といった発酵食品が存在しています。
ではなぜ、普段私たちが食べている市販の発酵食品には、賞味期限が明記されているのでしょうか。
まず、市販の食品には、安全に食べられる期間が設定されており、パッケージに「消費期限」か「賞味期限」のどちらかが表示されています。これは各食品メーカーが、国がまとめたガイドラインに基づき設定しているもの。パッケージを未開封のまま書かれた保存方法を守って保存していた場合に、消費期限は製造からおおむね5日以内に品質が劣化する可能性が高い食品に表記、それ以上の品質保持が可能な食品には賞味期限が表記されています。
また、市販の発酵食品は、食品流通における衛生上の問題から殺菌処理がなされ、発酵を止めていることもあります。発酵食品は長期保存が可能であっても、そのおいしさは永遠ではありません。発酵食品をつくっている食品メーカーはおいしい時期を見極めて出荷しており、その「おいしく食べられる期間の保証」という意味で、賞味期限を設定する必要があるのです。
開封後や保存状態によっては有害な菌が増殖するリスクが高まり、食感や風味に変化が生じることもあるため、市販の発酵食品は賞味期限を意識しながら、色や臭い、食感などの変化にも気をつけたいところです。