病院で使われる点滴の成分と似ていることから、「飲む点滴」と称される甘酒。体にいいことは想像にたやすいですが、甘酒のカロリーはどうなのでしょうか?
まず、甘酒は大きく2種類に分けられます。米麹を原料にした「麹甘酒」と、酒粕を原料にした「酒粕甘酒」です。前者は炊いたご飯(またはおかゆ)に米麹と水を混ぜて発酵させ、後者は酒粕に砂糖と水を加えてつくります。「酒粕甘酒」は使用している砂糖の量によってカロリーも変わるため、ここでは「麹甘酒」について見てみましょう。
麹甘酒のカロリーを見てみると、100グラムあたり「約76キロカロリー」(※1)。同量のほかの飲み物と比べてみると、りんごジュース(濃縮還元)が「約47キロカロリー」、牛乳が「約61キロカロリー」、サイダーが「約41キロカロリー」と、麹甘酒のカロリーは高めであることがわかります。ただし、成人男女の1日に必要なカロリーは1600~2000キロカロリー。必要カロリーの2.4~2.9%程度と、カロリー全体からするとほんのわずかです。
そして、注目してほしいのはカロリーよりもその栄養価。麹甘酒に含まれる成分の20%以上をブドウ糖が占めるほか、ビタミンB1・B2・B6、葉酸、食物繊維、オリゴ糖に必須アミノ酸などが含まれるなど、栄養価の宝庫なのです。
麹甘酒はいつ飲むかによって、体に与える効果が違ってきます。麹甘酒に含まれるブドウ糖は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の栄養源。朝に飲めば、血糖値が上がり脳や体がしっかり目覚めます。また、昼に飲めば、脳の働きが活発化し集中力アップにもつながります。ブドウ糖は体内に吸収されやすいため、運動後などに飲めば、素早いエネルギー補給にも。さらに麹甘酒に含まれるビタミンB群は疲労回復にも効果的なため、夜に飲めば、1日の疲れを癒やし、翌朝の目覚めがよくなるかもしれません。
食事や間食の代わりに麹甘酒を飲むのもおすすめです。麹甘酒はお米が多く使われているため、腹持ちが良く、少量でも満足感が得られます。また、食事やお菓子などには脂質が多く含まれますが、麹甘酒には脂質はほとんど含まれていません。
そんな麹甘酒ですが、飲みすぎには注意が必要です。前述の通り、カロリーは高めなので、飲む量に気をつけたいところ。1回におちょこ1杯からコップ1杯程度、1日には200mlほどを目安にしましょう。
飲み方に気をつければ、栄養満点でさまざまなメリットのある発酵食品、それが麹甘酒です。米麹に含まれる食物繊維や麹菌が生み出す酵素によって生成されるオリゴ糖は、腸内環境を整える働きもあるため、便秘の改善や予防にもつながります。適度に飲んで麹甘酒のいいところを存分に吸収しましょう。
※1 文部科学省「食品データベース」を参考