「発酵のある暮らし」を提案、
驚きと発見がいっぱいの料理&スイーツ
〈発酵食堂カモシカ〉@京都・嵯峨嵐山

posted:2021.11.5

〈発酵食堂カモシカ〉ってどんなお店?

「~発酵食を台所に取り戻す♪~」をテーマに、発酵調味料や発酵食品をたっぷりと使用したメニューを提供する〈発酵食堂カモシカ〉。JR嵯峨嵐山駅から徒歩3分ほど、にぎわう周辺から少し離れた静かな場所にたたずむお店です。

店内でひときわ目を引くのが、さまざまな発酵食品を仕込んだ瓶が整然と並ぶ「かもし棚」。柿酢や酵素ジュース、コンブチャ、ゆず胡椒、らっきょうなど、彩り鮮やかで眺めるだけでも豊かな気持ちになれます。これらは微生物たちの“命の営み”を伝えるために設置されたもので、発酵の世界の多様さを感じられます。

テーブル8席とカウンター4席のコンパクトな店内は、白と木目を基調とした居心地のよい空間。メニュー表に描かれたイメージキャラクター「カモシカ氏」のゆるいイラストが印象的で、温かな雰囲気が漂っています。発酵愛好家はもちろん、おひとりさまから親子連れ、カップルまで幅広いお客さんに愛される、誰もがウェルカムなお店です。

こだわりのイッピン

〈発酵食堂カモシカ〉の看板メニューは、ご飯以外のすべてに発酵食品を使用した「発酵8種定食」。メインのお揚げのあんかけは「麹納豆あん」か「にんにく醤油あん」からセレクトできます。京白味噌のお汁、ぬか漬け、乳酸発酵茶「阿波晩茶」などの品々は、どれも発酵ならではの奥行きが秀逸。醸すことで生まれる独特の旨みに、魅了されること間違いなしです。

軽く食事をしたい方には、定番メニューの「麹納豆丼」がおすすめ。納豆と米麹、にんじんをだしの利いた醤油ダレであえた麹納豆は白いご飯とぴったり。食欲がないときにでも、するっと食べられてしまいます。

体にやさしい発酵スイーツにもご注目を。玄米甘酒と豆乳のアイスクリーム、天然酵母生地でクルミとレーズンをサンドしたガレットなど、自然な甘さは体に染み渡るおいしさ。料理やスイーツによく合うこだわりの日本酒や地ビールもそろっており、昼飲みもOKです。

テイクアウト限定メニューも見逃せません。麹納豆が入ったお揚げが主役の「発酵5種ののり弁」は自家製甘酒ラー油で味変を楽しむことができ、鮎魚醤の卵焼き、ぬか漬けなど、発酵食のお惣菜が入っていて栄養満点。「魚醤ガパオライス」は、石川県の魚醤「いしる」を使った「いしる麹」がピリ辛ミンチの味のポイントです。さらに「醤チャーシュー」「鮎魚醤卵焼き」「燻製煮卵」など単品のお惣菜も購入することができます。

どんな発酵?

〈発酵食堂カモシカ〉のこだわりは、天然醸造の醤油や味噌、みりんなど、伝統製法によってつくられた無添加調味料を使うこと。調味料自体に滋味深い旨みやコクがあるからこそ、シンプルな調理や味付けでも絶品のおいしさに仕上がります。

さらに玄米甘酒や塩麹は、京都の麹屋の米麹で仕込んだ自家製。ひしお、醤マスタード、にんにく醤油、季節の酵素シロップなど、オリジナル自家製発酵調味料のレパートリーも多々あり、これらが奥深い発酵料理の味を生み出しています。ちなみにオリジナルの自家製発酵調味料は、10グラム単位の量り売りによるテイクアウトも可能。自宅でも発酵料理を楽しめるのはうれしいですよね。

また、魚介を使った発酵調味料や発酵食品を使って、複雑な旨みをプラスするのがカモシカ流。たとえば「イワシのいしる」「鯖のへしこ」「ふぐの子のぬか漬け」など、力強い旨みや洗練されたまろやかな味わいは魚介の発酵ならでは。さまざまな発酵調味料を使うことで、新たな味の発見や驚きのある、魅力的な料理をつくり上げています。

醸す人

〈発酵食堂カモシカ〉の代表を務める関恵(せきめぐみ)さんは、常に新しいことにチャレンジし続ける行動力とバイタリティにあふれた女性。実は、以前は医療コンサルティングに従事していたという関さん。

発酵の世界に飛び込んだのは、毎日を健康的に過ごすには「予防」が最重要と感じたからなのだとか。そして自身の妊娠や東日本大震災をきっかけに「本質的なことをテーマにした仕事にチャレンジしたい」と決心し、2014年に発酵食レストラン〈発酵食堂カモシカ〉をオープンしました。

「忙しく毎日を過ごしている方にこそ、発酵食を取り入れてほしいと思ったんです。そこで、まずは発酵の世界に出合う入口として〈発酵食堂カモシカ〉を開店しました。そして食を楽しんでもらうだけではなく“発酵のある暮らし”の提案を大切にしてきましたね」(関さん)

関さんが発酵に惹かれた理由はもう一つ。それは、発酵は微生物たちの営みであり、そこに「命」があることでした。微生物たちが働いてくれるおかげで、人間は発酵食という恩恵を受けることができます。また同時に、微生物たちも人間に心地良い環境をつくってもらうことで、元気いっぱいに活動することができます。つまり、そこには「相互補完」の関係性があるといえるのです。

「あったかいみそ汁を飲んでほっとしたり、お漬物を食べて体が軽くなったり。微生物たちの命のおかげで、私たちは元気になれます。古代から続いてきた、この『命ある食』を再び台所に取り戻すお手伝いをすることが、〈発酵食堂カモシカ〉の使命だと感じています」(関さん)

発酵セレクトショップやWeb販売も運営

〈発酵食堂カモシカ〉の活動は食堂での料理提供だけにとどまりません。お店から数十メートル先にある姉妹店のセレクトショップ〈発酵マルシェ〉では、自家製ぬか床や味噌玉などを販売。さらに全国に発酵ファンを増やしたいと、オリジナル商品やよりすぐり発酵食品の通販も行っています。

発酵ライフを始めてみたい方に人気なのが、カモシカ特製発酵キットの定期便。春夏秋冬の年4回、材料とレシピが自宅に届くキットがあれば、「発酵食品づくりは簡単にできる!」と手づくりに対するハードルを下げてくれるはずです。そのほか、店内では不定期にワークショップの開催も。醤やキムチの仕込み、ぬか床相談など、オンライン開催も増えているので遠方の方も要チェックです。

発酵の世界の奥深さを感じさせてくれる〈発酵食堂カモシカ〉。微生物たちの営みを想像しながら発酵フードをいただけば、よりいっそう味わい深く感じられそうです。発酵愛にあふれるスタッフさんとの会話も楽しみながら、発酵の魅力を満喫してみてくださいね。

information

〈発酵食堂カモシカ〉

address: 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺若宮町17-1
営業時間:11:30〜17:00(ランチ~15:00 カフェタイム~17:00)
定休日:日・月曜
発酵食堂カモシカ公式サイト
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