発酵バターの香りとコクに誘われる、
クラシックなフランス菓子店
〈パティスリー ビガロー〉@東京・桜新町

posted:2022.2.4

〈パティスリー ビガロー〉ってどんなお店?

〈パティスリー ビガロー〉は、東京・桜新町のサザエさん通りにあるフランス菓子店。2014年に桜新町にオープンし、店名の「BIGARREAUX(ビガロー)」はフランス語の「サクランボ」の品種のひとつだそうです。

店内はまるでフランスの街角にあるカフェを訪れたかのような雰囲気。オーナーシェフ夫婦がフランスで買い付けてきたというアンティーク小物や、店内に流れるフランス語のラジオが気分をパリに連れて行ってくれます。

フランスから取り寄せたという、縁起の良いエトワール柄のタイルが目を引く店内。ちまたでは「桜新町のパリ」とも呼ばれている

こだわりのイッピン

ショーケースの上段にはホールのタルトやチョコレート菓子、レーズンサンドなど、下段には17種類ほどのプチガトーがズラリと並んでいます。充実の焼き菓子コーナーも別にあり、ついつい目移りしてしまうほど。

シンプルなフランスの伝統菓子が中心ですが、シンプルだからこそ伝わる、「きっちり真面目な美味しいお菓子」を目指しているといいます。なかでもおすすめなのが「ミルフィーユ」。

パイ生地とカスタードクリームの2つだけで構成されたシンプルな「ミルフィーユ」は、同店のスペシャリテ

ザクザクとした歯応えのあるパイ生地に、口溶けがよくコクのあるクリームが合わさっています。しっかりと焼き込まれた焦げ茶色のパイ生地が香ばしく、口に入れたあとにバターの香りがスーッと鼻から抜けていきます。

「焼くものはしっかり焼き、酸っぱいものはちゃんと酸っぱく、軽いものはふんわり魔法のように軽く…当たり前の基本を、丁寧に、大切につくる」というシェフのこだわりが体現されている逸品。「どこにでもあるものを、どこにもないここにしかない味を目指しています」と石井シェフが言うように、ミルフィーユという食べたことのあるお菓子のはずが初めて食べるここだけの味に仕上がっています。

また、発酵バターのクリームをアーモンドたっぷりの生地でサンドした「ミゼラブル」も自信作。「バターの香りを存分に楽しんでほしい」と石井シェフは続けます。

バタークリームを主役にした「ミゼラブル」

どんな発酵?

〈パティスリー ビガロー〉では、お菓子の種類に合わせて小麦粉やバターなど使用する材料を使い分けています。特にお菓子の味に影響を与えるバターにはこだわりがあり、〈カルピス(株)バター〉を選んで使用しているといいます。

「〈カルピス(株)バター〉は上品な香りとキレ味の良さが気に入っています。バターの余韻を残したい焼き菓子やパイ生地には、〈カルピス(株)発酵バター〉を使っています。水分が少ないので、パイやクッキーなどサクッと仕上がるんですよね」(石井シェフ)

クラッシックなフランス菓子に多用される「バタークリーム」もビガロー流。〈パティスリー ビガロー〉では、4種のバタークリームをお菓子によって使い分けているそうです。

「合わせる生地に存在感がある場合、それに負けないように『発酵バター』を使って、コクのあるバタークリームをつくります。お菓子の何を食べさせたいかで材料を選ぶようにしていますね。僕のなかでの発酵に対するイメージは、“味のコク”かな」(石井シェフ)

醸す人

〈パティスリー ビガロー〉のオーナーシェフである石井亮さんは、国内の菓子店に勤めたあと、渡欧。ルクセンブルクやフランスなどで修業を重ね、帰国後10年ほど東京の名店でシェフパティシエを務め、2014年に独立しました。

「今の主流ではないけれど、クラッシックなものが好きなんですよね。うちのショーケースの中は茶色いものばかりだけど、素朴なきれいさとおいしさを伝えたい。フランスで学んできたことだけでなく、日本で学んだことも踏まえて、日本人に合ったお菓子づくりをしています」(石井シェフ)

そのために良質な素材を厳選しているという、石井シェフ。軽いけれど味がしっかりしているものが理想だといい、素材選びに余念がありません。

「ガレット デ ロワ」も

〈パティスリー ビガロー〉では、毎年年末から1月中旬まで、フランスの伝統菓子「ガレット デ ロワ」の販売もしています。こちらはフランスで毎年1月6日に食べる習慣のあるお菓子。フランスでは年が明けると、お菓子屋さんやパン屋さんの店頭は「ガレット デ ロワ」で埋め尽くされ、石井シェフもパリでの修業中、ひたすらこのお菓子をつくった思い出があるといいます。

ベツレヘムを訪れた東方の三博士によって、イエス・キリストが神の子として見出された「公現祭(エピファニー)」の日(1月6日)に食べるという「ガレット デ ロワ」

「ガレット デ ロワ」は、パイ生地とアーモンドクリームのみで構成されたシンプルなお菓子ですが、つくり手の個性と技がはっきり出る一品で、フランスではパティシエの審査課題にもなっているお菓子だとか。

「フェーヴ」と呼ばれる小さな陶器のオブジェが、パイの中のどこかに一つだけ入っており、このフェーヴに当たった人は王冠をかぶって、その日みんなから祝福されるという楽しみがあります。人が集まるお正月や新年会にぴったりだと、近年日本でも注目されつつあるお菓子なのです。

〈パティスリー ビガロー〉の「ガレット デ ロワ」には、〈カルピス(株)発酵バター〉が使われており、サクサクのパイとしっとりとしたアーモンドクリームがリッチな味わい。一見ずっしりとしていそうなのに、食感が軽く、次のひと口を誘うおいしさです。

ケーキや焼き菓子に加え、クロワッサンやバケットなどのパン、時期によってはキッシュなどのサレもの(おかず系)も並ぶ〈パティスリー ビガロー〉。石井シェフが選び抜いた素材でつくる「ここにしかない味」をぜひパリ気分で味わってみてください。

※本記事は2022年1月現在の内容です。最新の情報はお店のサイトをご確認ください。

information

〈パティスリー ビガロー〉

address:東京都世田谷区桜新町1-15-22-1F
営業時間:9:00~19:00
定休日:火・水曜
https://www.instagram.com/patisseriebigarreaux/

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