発酵のきほん

発酵にまつわる基本的な情報。
発酵食品の分類と微生物について解説。

納豆菌とは

納豆菌とは、枯草菌(こそうきん)という細菌の一種で、納豆をつくるのに欠かせないもの。納豆菌は身近な田んぼや畑、枯れ草に存在し、とりわけ稲わらに多く生息しています。煮大豆に納豆菌を加えると、発酵の過程でたんぱく質を分解しておいしさの成分アミノ酸を生成し、納豆ができます。加える納豆菌の種類によって、ネバネバ具合や味、においなど仕上がる納豆の特性が変わります。

納豆菌の特徴

納豆菌は芽胞(がほう)と呼ばれる殻(胞子)をつくるのが特徴です。芽胞のおかげで乾燥や熱にとても強く、天日干しをしても真空状態でも生き残り、マイナス100℃〜100℃の環境にも耐え続けることができます。たとえ、pHが低い酸性条件でも耐えることができます。

このように菌のなかで最強ともいえる納豆菌は時に嫌われることも。酒蔵や味噌・醤油蔵、パン工房など、麹菌や酵母などほかの菌を扱う現場では、納豆菌を持ち込まないために納豆を食べてはいけないといいます。

納豆菌のはたらき

納豆菌は胃酸に負けることなく、生きたまま腸内にたどり着き、もともといる善玉菌を活性化させ、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善してくれます。また、大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で「ナットウキナーゼ」というたんぱく質分解酵素を生成しますが、ナットウキナーゼは血栓を溶かして、血液をサラサラにするはたらきがあります。さらに納豆菌は骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。

監修:小泉武夫(こいずみたけお)
1943年福島県の酒造家に生まれる。農学博士。東京農業大学名誉教授のほか、全国の大学で客員教授を務める。専攻は醸造学・発酵学・食文化論。食にまつわる著書は140冊以上。国や各地の自治体など、行政機関での食に関するアドバイザーを多数兼任。発酵文化の推進ならびにその技術の普及を通じてさまざまな発展に寄与することを目的とした「発酵文化推進機構」の理事長も務める。 発酵文化推進機構公式サイト
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