医食同源に基づく和食給食を実践する保育園や自家製味噌の魅力を描いたドキュメンタリー映画〈いただきます みそをつくるこどもたち〉(2017年)。この映画を手掛けたオオタヴィン監督による初のフォトエッセイ〈子どもはミライだ!子どもが輝く発酵の世界〉が発売中です。
監督、撮影、編集、デザインなど映像制作のすべてを兼任し、パーソナルな質感の映画づくりを楽しんでいるオオタヴィン監督。「発酵映画監督」を自称する彼は、発酵食や伝統食で自身の体調を整えているといいます。
初監督作品である映画〈いただきます1 みそをつくるこどもたち〉は、累計上映回数800回を今なお更新中。2017年の公開から続くロングランヒット作品です。その後も、 有機農業と発酵をテーマにした〈いただきます2 ここは、発酵の楽園〉(2019年)、心の発酵と自由教育をテーマにした最新作〈夢みる小学校〉(2021年)と、発酵にまつわるドキュメンタリー映画を続々と発表しています。
©VIN OOTA
そんなオオタヴィン監督による、初のフォトエッセイ集が2022年2月1日に発売となりました。タイトルは〈子どもはミライだ!子どもが輝く発酵の世界〉。全256ページ、5章からなる紙面には、詩的な写真とともに、映画の舞台となった教育現場での出会いや監督自身の食養生の体験などがつづられています。
第1章の舞台は、〈いただきます1〉を制作するきっかけとなった福岡市の「高取保育園」。毎月100キロの味噌を仕込み、玄米とみそ汁を中心とした給食を食べる園児たちの生活に密着します。第2章では、〈いただきます2〉の主役である「微生物」を中心に、里山保育を実践する山梨県の「みいづ保育園」への取材や発酵の知識が深いファーマーや研究者への調査など、続編映画ができあがっていく様子が描かれています。
©VIN OOTA
第3章では、最新作〈夢みる小学校〉の舞台となった、和歌山県「きのくに子どもの村学園」の独自のカリキュラムを中心に、子どもたちがのびのびと学べる学校の在り方に迫ります。続く第4章で語られているのは、著者自身について。ハードワークの末に大病を患った著者がたどり着いたのは、発酵食を中心とした「食養生」でした。心身の変化と共に、発酵を中心とした映画制作に情熱を燃やすようになるまでの道のりがつづられています。
そして最終章、第5章のテーマは「まほろば ようこそ、なつかしいミライへ」。新型コロナウイルスの流行によって、ますます注目が高まるオーガニック農業の知られざる事実と、著者が夢見るコロナ後のビジョンが語られています。
©VIN OOTA
著書の中で「映像は、予言です。映像は、ミライを引き寄せます」と語るオオタヴィン監督。エッセイでも希望あふれる未来予想図が描かれています。発酵食、オーガニック農業、自然保育、自由教育……「持続可能な社会に大切なもの」を考えるきっかけを与えてくれる一冊です。
©イーハトーヴスタジオ
著者:オオタヴィン
発行元:木楽舎
価格:1,980円
web:http://www.kirakusha.com/book/b599003.html