福岡のチョコレート工房〈UMEYA BRAINERY(ウメヤ ブレイナリー)〉から4種の酵母菌発酵チョコレートが発売されました。カカオ豆の発酵に着目し、インドネシアのカカオ農家との協業で開発された、まったく新しいタイプのチョコレートです。
福岡県宗像市で辛子明太子を製造販売する〈うめ屋〉が、2019年1月にスタートしたチョコレート工房〈UMEYA BRAINERY〉。ここはカカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行う「Bean to Bar」スタイルのお店です。
〈宗像大社〉のある宗像市は、昔から「神が宿るまち」と呼ばれる土地でした。そして、チョコレートの主原料となるカカオ豆にも、「テオブロマ・カカオ(神様の食べ物)」という別名があります。「神様」という言葉でつながった、宗像市とチョコレート。この不思議なご縁に運命を感じたことが、お店をスタートするきっかけのひとつとなったそうです。
〈UMEYA BRAINERY〉が理想とするチョコレートは、原材料であるカカオ豆の農家や、チョコレートを食べる人たちが幸せになれる「平和の味」。そのため、海外のカカオ農家と協力しながら、こだわりのチョコレートをつくることだけではなく、チョコレート産業が抱える諸問題(気候変動、森林伐採、児童労働)の解決を目指しているそうです。
〈chocolate bean to BAR〉は全8種類。
東南アジアやアフリカのカカオ農園を訪問し、農家たちと関係性を育てている。
チョコレートの味を決める重要なプロセスが、カカオ豆の発酵です。バナナの皮を敷いた木箱に収穫したカカオパルプ(実)とカカオ豆を広げて、2日おきに手で攪拌(かくはん)させ、約1週間かけて自然発酵させます。こうしてしばらくカカオ豆を眠らせることで、素材本来の味と香りに深みをもたらすのです。
しかし、カカオ豆を現地の気候に合わせて発酵させることは難しく、技術のないカカオ農家では発酵が未熟になってしまうという問題もありました。これらの負担とリスクを軽減し、他にはない味わいをつくるために着目したのが、酵母菌による発酵でした。
そこで、麹菌や発酵を長年研究している九州産業大学の満生 慎二助教授に相談し、4種の酵母菌をピックアップ。インドネシアのカカオ農家と協力して、酵母菌発酵チョコレートを開発しました。
左から〈清酒酵母〉、〈黒種麹〉、〈シャンパン酵母〉、〈乳酸菌(カゼイ菌)〉。
日本酒の仕込み用酵母を使った〈清酒酵母〉は、芳醇ながらシャープな風味が特徴。焼酎の仕込み用種麹を使った〈黒種麹〉は、ごつごつした男性のようなイメージの風味です。ワインやシャンパンの仕込み用酵母を使った〈シャンパン酵母〉は、酸味や香りがしっかり伝わる一品。そして、カゼイ株の乳酸菌を使った〈乳酸菌(カゼイ菌)〉は、まろやかでやさしい味わいです。
いずれも原材料は、カカオ豆ときび砂糖のみ。シンプルだからこそ、酵母菌による味の違いがダイレクトに伝わります。
酵母菌を使うことにより、少しでも良質な発酵を行うことができれば、カカオ農家の収入増加にも繋がります。現在は少数の農家との契約ですが、将来は多くの農家が参加してくれることを目標としているとのこと。生産者も食べる人もうれしい、酵母菌発酵で生まれた4種のチョコレート。食べ比べてみてはいかがでしょう。
価格:未定
容量:未定
※次回の原料が入荷次第になります(6月以降)
web:https://www.umeyashop.com/umeya-brainery/