真夏の暑さが少し落ち着き、“食欲の秋”がやってきましたね。新米、栗、さつまいも、きのこ、サンマ、牡蠣……など、秋の味覚が目白押し! そんな旬の食材をよりおいしく、手軽に調理できる発酵調味料を3つご紹介します。「発酵しょうが」に「ぬか床」「塩麹」を手づくりして、自身の胃袋を喜ばせてあげましょう。
一年中出回っている生姜ですが、露地栽培の生姜を手に入れられるのは秋。10〜11月に旬を迎える新生姜を使って「発酵しょうが」をつくれば、冷蔵庫で半年ほど保存ができ便利です。薬味としてはもちろん、調理の際に使うなど、使い道の多い発酵調味料です。
つくり方は驚くほど簡単! 生姜をきれいに洗って水分をしっかり拭き取り、皮ごとすりおろして保存容器に詰め、冷蔵庫で2週間待つのみです。
ポイントは腐敗や酸化させずにきちんと発酵させること。まず、余分な水分が混ざると腐敗の原因になるのでしっかりと水気を拭き取り、また、容器に入れる際は隙間や空気が入らないようにしっかり詰め、ラップでフタをします。そして、空気や雑菌が入らないように、発酵中はフタを開けずにじっと待ちましょう。
生姜が発酵する過程で乳酸菌がつくられますが、生姜の皮をむかずにそのまますりおろすことで、乳酸菌の育成が促されます。
生姜焼きはもちろん、豚汁やお味噌汁に入れたり、スープや煮物、炒め物に使ったり、何にでも大活躍。ビールとジンジャーエールを半々で割り、「発酵しょうが」をスプーン1杯入れれば本格的なシャンディーガフのできあがりです。
少しずつ肌寒くなってくる秋に、体を温める作用を持つショウガオールを含む生姜を上手に取り入れたいですね。発酵作用によって増える乳酸菌やオリゴ糖により、腸内環境の改善にもつながるそうですよ。
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冷蔵庫などの保存手段のない頃から日本の食卓を支えてきた「ぬか漬け」。季節ごとの野菜や素材を漬けて、自分好みのぬか漬けを楽しめる「ぬか床」をつくってみませんか? 一度つくってしまえばくり返し使えて、乳酸菌やビタミン類の宝庫である漬物生活を始められますよ。
つくり方は「捨て漬け」と「本漬け」の2段階。まずは素材を漬ける前のぬか床づくりをします。生ぬかと塩を混ぜた保存容器に水を加え、かつお節、唐辛子、米麹を入れ混ぜます。そこに干し椎茸と昆布を加え、人参や大根の皮、キャベツの外葉や芯などを漬け込みます。
1日に1〜2回、ぬか床を底の方からまんべんなくかき混ぜましょう。捨て漬け用の野菜は4〜5日おきに新しいものと替えてください。入れ替える際は、野菜の絞り汁をぬか床にしっかり戻しましょう。乳酸菌の大切な栄養源となります。2週間後、捨て漬け用野菜を取り出せば、本漬け前のぬか床の完成です。
ぬか床から顔を出さないように、お好みの野菜類を入れ、ぬかの表面を手でしっかりと押して空気を抜いたら本漬けの完了。本漬け後、半日から1日で浅漬けができあがります。日を追うごとに古漬けになっていくので、お好みの漬かり具合で取り出すようにしましょう。
ぬか床の中では、植物についている乳酸菌類などが生育していきますが、よい乳酸菌を生育させるために、毎日かき混ぜることが重要。全体が均一に乳酸発酵することで、ぬか床全体のpHが下がり、独特の酸味や香りが生まれます。
ちなみに、カブやゴボウ、新生姜、レンコンなど、秋に旬を迎える野菜を漬ければ、季節を感じることができます。また、アボカド、モッツァレラチーズ、ゆで卵などもぬか床で漬けることで、食感や風味が変わり、それだけでお米やお酒が進む立派なおつまみに早変わり。秋の夜長にオリジナルのぬか漬けをあてに、しっぽり晩酌はいかがでしょうか。
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米麹と塩を合わせて水をなじませ、常温で発酵させるだけでできる便利な「塩麹」。塩の代わりに使うと、食材の中まで味が浸透しやすくなったり、しょっぱさが和らいだりするなど、不思議なチカラを持つ発酵調味料です。
手順は、米麹と塩をしっかりと混ぜ合わせ、水を注ぎ入れ、全体がしっかりと馴染むまで合わせます。保存容器に移して直射日光が当たらない室内に置き、1日1回スプーンでよくかき混ぜたら、2週間ほどで完成です。
米麹に水を加えて室温で置いておくと酵素が動き出し、米麹の米の形がなくなるほど分解し、米のデンプンが糖に変わります。そのため塩のカドが取れ、マイルドな優しい塩味になるのです。
また、塩麹に肉や魚を漬けると、麹に含まれているタンパク質分解酵素が肉や魚の一部を分解することで、やわらかくなります。同時に、水分と一緒に糖が肉や魚の中に入り込むことで、ふっくらとした食感になるという、いいこと尽くし!
焼き魚に使うもよし、きのこやレンコンなど秋の食材をサッと炒めるもよし。炊き込みご飯やスープの味つけにも大活躍。塩麹のみでも素材の旨みがアップするので、手間をかけずとも味が決まります。
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いかがでしたか? 「発酵しょうが」に「ぬか床」「塩麹」、昨今は市販品も手軽に手に入る時代ですが、材料を揃えて手づくりしてみると愛着の湧き方が違うかもしれません。冷蔵庫に常備しておくだけで、手をかけることなく、旬の食材の旨みを存分に引き出すことができます。ぜひ繰り返しつくって、食欲の秋を満たしてみて。