「味噌は毎年仕込むけど、みそ汁やディップソース以外の使い道があまり浮かばない……」こんなお悩みを持つ方は意外と多いのではないでしょうか。そんな味噌好きだけど味噌の使い方迷子の方に、おすすめしたい一冊があります。みそ好き料理家である「minokamo」こと、長尾明子さんの新著〈みそ味じゃないみそレシピ 〜「ひとさじ」で変わる新しいみその使い方〉(池田書店)です。
「実は10年以上前から温めていた企画なんです。日常的に和食、洋食でも味噌を料理に使っていて、毎日味噌を取り入れています。この本をつくるにあたって改めて味噌のいいところを考えてみました。みそ料理も書き出してイラストにすると、80品くらいパッと出てきて」(minokamoさん)
イラストレーターとしても活躍するminokamoさんが、本の企画書のために書き下ろしたみそ料理の数々。
minokamoさん曰く、この本のポイントのひとつが「味噌を色で区別したこと」だそう。
「つくりたての味噌は色が薄く、味は軽やかで甘め。徐々に色が濃くなって、2年も経つと豆味噌のように酸味と深みが増します。同じ材料でつくっても、味噌は熟成具合によって風味が変わってくるんですよね。この本では各地の味噌の名称は外して、味噌の熟成具合のそれぞれ良いところを生かして使えるように提案しています」(minokamoさん)
パッと見ておすすめの味噌の色がわかる“みそバー”が各ページに配置されている。
今回味噌を色で区別することに決めたのは、ご本人の味噌づくりの実体験から。毎年味噌を仕込むというminokamoさんが、自宅にある自家製味噌を見ていて、色の違いによる味噌の使い分けに行き着いたといいます。
毎年麹の種類を変えて楽しんでいるというminokamoさんの味噌づくり。
「どの色味の味噌もおいしいですが、明るい味噌はクリーム系のメニューやおやつづくりにおすすめ。濃い色の味噌はデミグラスソースの代わりにハヤシライス、甜麺醤の代わりに麻婆豆腐などに合いますよ。そして、中間色は万能で何にでも!」とminokamoさん。
材料を炊飯器に入れて手軽につくれる「みそ炊き込みごはん」(左)に、濃い色の味噌で本格的な味わいになる「みそ麻婆豆腐」(右)。
タイトルの「みそ味じゃないみそレシピ」の通り、味噌味をつけるべく仕上げに味噌を入れるレシピではなく、初めに味噌を入れて炒めたり、隠し味的に味噌を使ったりするレシピが中心です。
表紙にも使われている「しそみそたまごサンド」は、パンに直接味噌をちょんちょんとのせるレシピ。ピザのアンチョビと同じイメージで、味のアクセントになり、ひと口ごとに味わいが変わるといいます。
パンにちょんちょんと味噌をのせ、チーズをかけて焼いたらピザに早変わり。
たまごペーストにも隠し味に味噌が。色の薄めの味噌を使うとたまごの色がきれいに仕上がるそう。
「通常だったら醤油、通常だったら塩のレシピを“みそめがね”で味噌に変換してみてみると、味噌レシピが広がります。日常の料理の調味料を味噌に変えるだけで、本当に味に深みが出て、うれしい発見につながりますよ!」と興奮気味にminokamoさんが語ってくれました。
「みそカレー」に「みそスープ」、「みそサラダ」と味噌づくしのメニュー!
「味噌のいいところは味噌を使うことで、短時間で味にコクが出ること。それは味噌が完成するまでに時間がたっぷりかかっているからなんですよね。ぜひいろいろな料理を“みそめがね”をかけてつくってみて、おいしい発見を一緒にできたらうれしいです」(minokamoさん)
味噌変換をするだけで、味にまとまりが出たり、まろやかになったり、じっくり煮込んだような深みを感じたり。そんなおいしい発見の度に「みそ、ありがとう!」と声に出して言いたくなるという著者のminokamoさん。
レシピは「定番料理がおいしくなるみそのご飯、麺、パン」「素材を生かすみその副菜」「ごはんがすすむみそのメインおかず」「コクが出るみその鍋・スープ」「やさしい塩味みそのおやつ」の章に分け、全66品を掲載。
毎日の味噌づかいがワクワク楽しくなるレシピばかりで、自宅に味噌があるすべての方にお届けしたい一冊です。
(写真提供:minokamo)
価格:1,540円(税込)
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4262130940